炭化ケイ素(SiC)の製造工程 / 現地SiC製錬工場レポート3

中国北西部蘭州市郊外にある炭化ケイ素(SiC)製錬工場のレポート第3回です。今回は実際のSiC製錬を見てゆきます。

ここには電気抵抗炉が前後左右に4基並んでおり、順番に操業してゆきます。20,000KWで10日間通電し、中心の電極付近は約2,000℃に達します。原料投入から製錬SiCの取り出しまで1炉当たり約15日間での操業です。

resistance furnaces front

terminal

石英砂=1.7 : 石油コークス=1.3の割合で混ぜた原料はクレーンで電気抵抗炉に投入されます。原料中心部にはカーボンの粉を押し固めて電極が作られます。下写真の右側の炉は製錬された後、電極から遠く反応しなかった周りの原料を取り除いた状態で、左側奥の炉は原料投入が終わり製錬待ちの状態です。

SiC smelting 11基の炉の長さは約100m、製錬されたSiCの高さは約3m、一回の製錬で約600t/炉のSiCが作られます。

SiC smelting size 2SiC smelting size 1

先の写真の反対側から。製錬後のSiCが左、これから製錬される炉が右で鋼材と断熱レンガで高く壁が作られています。left after SiC smelting right before smelting

奥の2基の炉の内、手前の炉はちょうどSiC製錬が終わったところです。

SiC 4 resistance furnacesSiC just after smelt from side壁を登って上から炉の中を撮った写真が下です。SiC just after smelt from UPまだ少し煙が立ち上っています。SiC製錬の反応後、投入された原料は当初よりも体積が減っているのが判るかと思います。コークス由来の硫黄の黄色も少し見えます。因みに右奥の炉はこれから原料を投入する炉で今は空です。この様に4つの炉を順番に操業しています。この工場のSiC年間生産量は約20,000トンです。

次回は製錬されたSiCについて見てゆきます。