SiC耐火物の機械的強度と温度の関係

前回ブログの最後に少し述べましたが、SiC耐火物は他のアルミナ・ムライト等のいわゆる白物の耐火物と違い、温度が上がっても機械的強度は下がらず、逆に強度は若干上がるという非常にユニークな特性を持っております。

酸化物系セラミックス(アルミナ等)は一般的にイオン結合性が強く、高温になると強度が落ちる物が多いですが、SiC(炭化ケイ素)はダイヤモンド等と同じく共有結合性が強く、そもそも高温強度が強い為、最高使用温度以下なら温度が上がっても強度は落ちません。
更に、SiCの場合は温度上昇に伴い結晶の並びが整い内部の歪が減少する事により機械的強度が増すと言われております。

*大幸セラミック「SiC耐火物テクニカルデータ」はこちらをご参照下さい

すなわち、SiC耐火物の場合、常温で壊れない焼成物の荷重なら(最高使用温度以下の)高温でも荷重によって耐火物が壊れる事はないという事になります。一般的な「温度が上がれば物は柔らかくなる」という常識にSiC(炭化ケイ素)の場合は当てはまらないのです。
尚、実際には焼成過程でSiC耐火物が割れる場合がありますが、その原因のほとんどが温度の不均一により起こる熱衝撃が原因と考えられます。

 

焼成
焼成風景