ローラーハースキルン

前回記事の様に支柱で上に高く棚組みするシャトル炉とは対照的に、1段ないし2段のみで炉に入っていくローラーハースキルンという炉があります。Roller Hearth Kiln

ローラーハース:Roller Heart(=ローラーの炉床)式のKiln(=炉)という意味で、セラミックス焼成炉の1種で、写真のローラーが回転し、セッターを炉に搬送してゆく連続焼成炉です。

特徴は炉内高さが低いので各製品にかかる温度を均一にしやすく、焼き上がり寸法や色などが均一になりやすいのと、全方向から加熱できる為比較的短時間での迅速焼成が可能な点です。ただしヒートカーブは急なので耐火物にとっては厳しい条件ではあります。

ムライト支柱組台車

前回記事のスペースを大きく取ったSi-SiCビーム組台車とは対照的に、低めのムライト支柱で隙間なく組まれた台車の写真です。Highly filled Kiln Car

シャトル窯で食器を焼成する際の一般的な棚組方式で、SiC棚板1枚当たりL型ムライト支柱を3個使用し棚組みしています。立ちの低い皿系統の製品が多い為それに合わせて低めの支柱を使い、なかなかの充填率になっています。

Si-SiC(反応焼結SiC)ビーム組台車

少し前の海外の写真となりますが、Si-SiC(反応焼結SiC)ビームと酸化物結合SiC支柱を組み合わせた台車の写真です(棚板も酸化物結合SiC棚板)。SiSiC Beam kiln carSi-SiCビーム台車の特徴は支柱の数を減らし空間を広く取る事により大物製品の焼成において窯詰め/窯出しの作業効率が良くなりますし、支柱の数が減る事でガスの省エネも期待できます。また、ビーム=線で棚板を支える形になりますので、SiC棚板の反り軽減にもなります。

尚、写真の台車は支柱を台車に埋め込まずにカートップの上に設置するという日本ではあまり見られないタイプです。

SiCと硫化物の爆発的反応

ある食器メーカー様より「1枚の棚板だけ支柱の周りを中心にSiCがはじけて、製品上にまで飛んだ」という連絡を受けました。下がその時の写真です。SiC Sulfide 1

かなり激しく表面がコーティングごとはじけ飛んでいるのが見て判ります。SiC Sulfide 4UP

又、見事に支柱の周りだけですので、支柱が原因だと推測し色々調べました。SiC Sulfide 3

工場内の支柱置き場に置いてあった他の支柱を確認したところ、黒っぽい粉が支柱の上に載っており、分析したところその粉からは酸化カルシウム(CaO)と三酸化硫黄(SO3)が多く検出されました。これら2物質は炉内昇温過程で化合し硫酸カルシウム(CaSO4)となり、硫酸カルシウム等の硫化物とSiCはある温度に達すると爆発的反応を起こします。この黒っぽい粉は、状況的にも成分的にも支柱置き場の上の天井スレートの一部が降った物と考えられます(スレート成分にはCaとSO3が含まれますので)。SiC Sulfide cause即ち今回の問題の原因は「天井スレートからの落下物が支柱の上に載り、それが炉内高温下でSiCと接触し爆発的反応を起こした」という事になります。

海外の現場でも同様の現象が起きております。SiC Sulfide 4

石膏型にもCaOとSO3が含まれますので、石膏が焼成前の製品に付着したりすると同様の現象が起こる可能性がありますので注意が必要です。

Si-SiC(反応焼結SiC)保護管

Si-SiC(反応焼結SiC)製の熱電対保護管です。SiSiC protection tubeSiSiC protection tube edge一般的な熱電対保護管はアルミナ質の物が多いですが、高強度・高熱伝導・ち密質という特徴からSi-SiC製の保護管が採用される場合もあります。但し、Si-SiCの最高使用温度は1,350℃ですので、その温度以下の焼成に限ります(1,350℃を超えてくると含浸させてある金属シリコンが徐々に出てきてしまいます)。

保護管の先端形状はストレート・ドーム型どちらも可能です。根元側に固定用の溝加工も可能です(焼成前のグリーンの状態で加工)。

Si-SiC(反応焼結SiC)ラジアントチューブバーナー

Si-SiC(反応焼結SiC)製のラジアントチューブバーナーの内筒管(外筒管の中に挿入されるスリーブ)です。Radiant tube burnner inner熱処理炉等のバーナーで使用されます。Si-SiCはセラミックスの中ではかなり熱伝導率が高い材質であり、熱効率が良いです。最高使用温度は1,350℃ですので、金属製バーナーチューブでは垂れたり劣化したりする環境でも長く使えます。穴開けの位置や数は最終焼成前のグリーンの状態で加工しますので、図面に合わせて対応可能です(焼成後は非常に硬くなり、後加工はほぼ不可能となります)。

Si-SiC(反応焼結SiC)ビーム・Si-SiCピンストッパー

前回記事に引き続き、別のSi-SiCビーム固定方法です。

上と下のビームにそれぞれ穴を開け、Si-SiC製のピンを指す方法です。SiSiC Pin StopperSiSiC Pin Stopper2

単純な方法ではありますが合理的です。写真では下のSi-SiCビームも貫通してピンが刺さっていますが、ビーム強度を少しでも下げたくないという場合は下ビームの下の穴は開けずにピンの長さを短く調節するのも良いかと思います。

尚、Si-SiCの穴開け加工は焼成前のグリーンでないと加工できません。焼成後の完成品Si-SiCは非常に硬いですので、やるとしても非常に高額な費用となり穴付きの物を新たに製作した方が安くできるくらいです。

他にも弊社が発案した非常に効果的なSi-SiCビーム固定方があり、実際トンネル炉で採用されております。状況に応じて最適な提案ができますので、ビームのずれにお困りの企業様は是非お問い合わせ下さい。

Si-SiC(反応焼結SiC)ビーム・段付ストッパー

焼成温度1350℃以下の条件ですとSi-SiC(反応焼結SiC)が使え、高強度なSi-SiCビームは炉の構造材として力を発揮します。しかしトンネル炉などで常に台車が移動する条件では、井桁に組むビーム組が台車の振動によりずれてきてしまう場合があります。それを防止する一つの方法として下の段付きストッパー形状というのがあります。2019 10 SiSiC beam with stopper1

段と段の間に上(もしくは下)のビームを組む方法です。2019 10 SiSiC beam with stopper2

この形状を組み合わせれば90度に組まれたビームはずれなくなります。

またこの方法以外にもいくつか効果的なビームずれ防止策があります。SiCビーム組みのずれ問題を解消したいという場合は、是非弊社にお問い合わせ下さい。

炭化ケイ素(SiC)の製造工程 / 現地SiC製錬工場レポート4(最終回)

中国北西部蘭州市郊外にある炭化ケイ素(SiC)製錬工場のレポート第4回(最終回)です。今回は製錬されたSiCを見てゆきます。

石英砂=1.7 : 石油コークス=1.3の割合で混ぜた原料を電気抵抗炉に投入し中心にカーボンの粉で電極を作り、そこに20,000KWを10日間通電させた結果、炉の中心温度は約2,000℃に達し、下記の様にSiCが製錬されます。

製錬イラスト_書き出し用図で示した通り、中心の電極に近い部分ほど高密度のSiC 98.5%ができ(A)、その周りも同じSiC 98.5%ですが中心よりも密度が低くなります(B)。その外側がSiC 88%の層になります(C)。この中心に近いSiC 98.5%高密度部分(A)が高品質のSiC耐火物の原料となり、この部分をいかにきちんと選別して供給できるかが品質の鍵となります。尚、高密度SiC 98.5%の周りのSiC 98.5%部分(B)は研磨材や砥石の原料となり、その外側のSiC 88%部分(C)は製鉄用の脱酸材(投げ込み材)となります。反応しなかった電極から離れた部分の原料は次の製錬に使われます。1回の製錬で1基の炉で図のSiC 98.5%~88%部分が約600トンできます。

製錬されたSiCは大きく砕かれ部位別に選別されます。SiC ingot 1この地域はステップ気候で年間降水量が約300mmと少ないですが、製錬されたSiCはきちんと管理された屋根付き保管庫にて保管されます。SiC ingot 4SiC ingot 3

下の写真のインゴットの中で、上部の粒子が粗く見える部分がSiC 98.5%の密度の少し低い部分で、その下の少し白っぽく見える部分がSiC 98.5%の高密度部分で、下側が炉の中心方向となります。SiC ingot higher densityこれを運搬しやすいように更に細かく砕き1トンバックに入れます。SiC ingot 1 ton bagSiC ingot 5この大きさの粒が流通しているいわゆるSiCインゴットです。ここからまたSiC粉砕・整粒加工会社に運ばれ、粒度別に選別されSiC耐火物の原料が完成します。

良いSiC製品を作るには良い原料の安定供給が必要不可欠です。

炭化ケイ素(SiC)の製造工程 / 現地SiC製錬工場レポート3

中国北西部蘭州市郊外にある炭化ケイ素(SiC)製錬工場のレポート第3回です。今回は実際のSiC製錬を見てゆきます。

ここには電気抵抗炉が前後左右に4基並んでおり、順番に操業してゆきます。20,000KWで10日間通電し、中心の電極付近は約2,000℃に達します。原料投入から製錬SiCの取り出しまで1炉当たり約15日間での操業です。

resistance furnaces front

terminal

石英砂=1.7 : 石油コークス=1.3の割合で混ぜた原料はクレーンで電気抵抗炉に投入されます。原料中心部にはカーボンの粉を押し固めて電極が作られます。下写真の右側の炉は製錬された後、電極から遠く反応しなかった周りの原料を取り除いた状態で、左側奥の炉は原料投入が終わり製錬待ちの状態です。

SiC smelting 11基の炉の長さは約100m、製錬されたSiCの高さは約3m、一回の製錬で約600t/炉のSiCが作られます。

SiC smelting size 2SiC smelting size 1

先の写真の反対側から。製錬後のSiCが左、これから製錬される炉が右で鋼材と断熱レンガで高く壁が作られています。left after SiC smelting right before smelting

奥の2基の炉の内、手前の炉はちょうどSiC製錬が終わったところです。

SiC 4 resistance furnacesSiC just after smelt from side壁を登って上から炉の中を撮った写真が下です。SiC just after smelt from UPまだ少し煙が立ち上っています。SiC製錬の反応後、投入された原料は当初よりも体積が減っているのが判るかと思います。コークス由来の硫黄の黄色も少し見えます。因みに右奥の炉はこれから原料を投入する炉で今は空です。この様に4つの炉を順番に操業しています。この工場のSiC年間生産量は約20,000トンです。

次回は製錬されたSiCについて見てゆきます。