吸水率の測り方

耐火物の物性値測定で自分でも簡単に測れるのが吸水率です。

①まずは、測定したい耐火物の水分をしっかり飛ばす為、110℃くらいで数分間加熱します。あまり温度を上げすぎると内包する水分が高圧の水蒸気となり耐火物にダメージを与えたり、ひどい場合には爆裂して粉々に砕ける危険があります。電子レンジを使用しても良いですが、同じく破裂には気を付けて下さい。

②乾燥させた耐火物の重量を量ります。

2016 March blog 吸水前重量

③気孔にしっかり水分を吸い込ませる為に、30分くらい沸騰したお湯に入れます。

2016 March blog 沸騰吸水

④取り出して表面の水分を拭き取り、再び重量を量ります。

2016 March blog 吸水後重量

吸水後:61.68g ÷ 吸水前:54.61g=112.9% でこの耐火物の吸水率は12.9% となります。

尚、内部に独立した気孔(密閉気孔)がある場合は、そこには当然水は入っていきませんが、耐火物の場合はそういったケースはあまり無いようです。

SiCプレートの割れ方の違いとその原因

使用中にSiCプレート等の板状耐火物が割れる原因で最も多いのがヒートショック(熱衝撃)です。

ヒートショック(熱衝撃)による割れとは、炉内の温度変化の際に1枚のプレートで縁と中心部分とで温度差が生まれ、膨張・収縮のひずみが発生しプレートがそのひずみに耐え切れずに割れてまう現象です。下の写真はヒートショックにより割れたSiCプレートです。

2016 blog crack by heat shock

炉内降温時には板の中心が一番温度が高く、即ち一番膨張している部分の為、(スリットの無いプレートの場合は)大体この様に比較的緩やかなカーブで、割れ目は縁から中心を通りプレートは真っ二つに割れます。

一方下の写真は全て物理的衝撃により割れたSiCプレートです。

2016 blog crack by impact

割れ目が二股以上になっていたり、割れ目に鋭角な部分があったりと、割れ方の違いが見て取れると思います。

この写真のSiCプレートは故意に落として割ってみた物ですが、例えば、炉に入れる前にどこかに当ててしまったり、立て掛けてあった物を倒してしまったりとプレートに物理的衝撃が加わった場合、その時割れていなくても目に見えにくい微細なクラックが入ってしまい、炉内で昇温/降温し、膨張/収縮した時にその微細クラックに沿ってプレートが割れるというケースもございます。その場合はこの下の写真のような割れ方になります。

セラミックスの曲げ強度試験

下の写真はアルミナ・ムライト質セラミックスの3点曲げ強度試験の様子です。
曲げ強度試験1

写真の様に試験サンプルの下2点を支持し、その支点間の中心1点に荷重を徐々に加えてゆき、試験サンプルが破壊した時の負荷が曲げ強さの数値となります。ちなみに各支点にはせん断作用による破壊を防ぐ為に緩衝材をはさみます。

曲げ強度試験2

ある程度の強度を予想し、それに基づいてかけてゆく負荷スピードを調整します。

ちなみにアルミナ・ムライト質のセラミックスはアルミナ%が多いほど(常温での)機械的強度が強いというわけではなく、ある程度の結合剤(SiO2等)があった方が常温での強度はあるようですし、素材の粒径や焼結度合(緻密さ)等にもよって強度は大きく変わってきます。

コーディライトとフリーカーボンの反応

コーディライト製品を新品の再結晶SiC棚板で焼成したところ、SiC棚板表面にピンクや緑の色が出ました。2015年2月blog再結晶SiC Plate22015年2月blog再結晶SiC Plate1

これはコーディライト中の酸化マグネシウム(MgO)・アルミナ(Al2O3)からスピネル(MgAl2O4)が生成され、新品の再結晶SiC棚板中のフリーカーボン(C)がスピネル中に固溶する(スピネル中の酸素OがカーボンCに入れ替わる)事でピンクっぽい色になった様です。

またフリーカーボンのスピネルへの固溶の度合いにより緑色等いろいろな色にもなりうる様です。

新品再結晶SiC棚板は初回空焼き(製品を載せずに焼成)するか、何回か焼成で使用し棚板上にフリーカーボンがなくなってからコーディライト製品を焼成すればこの様な色は出ないでしょう。

バーナーヘッド

ベンチュリーバーナー用バーナーヘッドの紹介です。

2014 12 blog burner head1

写真のサイズは左から

2インチ       外径約81.2mm, 高さ約89.2mm, ねじ穴径約57.3mm

1-1/2インチ 外径約68.1mm, 高さ約68.6mm, ねじ穴径約46.9mm

1-1/4インチ 外径約60.2mm, 高さ約62.1mm, ねじ穴径約40.2mm

1インチ       外径約52.0mm, 高さ約50.9mm, ねじ穴径約31.3mm

6分           外径約40.0mm, 高さ約40.1mm, ねじ穴径約24.5mm

*サイズ呼称はバーナーヘッド先端穴の(大きい方の)径サイズで、内側中心のガス穴の(小さい方の)径サイズではありません

2014 12 blog burner head2

ベンチュリーバーナーは比較的単純な構造でメンテナンスもしやすい為、よくガス窯に使用されております。バーナーヘッドはヒートショックに対して強くする為、ポーラス質(気孔率のある)ムライトで作られております。*緻密質の気孔率の無い材質ですと、ヒートショックに対して割れやすくなります。

バーナーヘッドが破損した場合でもご自身で簡単に交換可能ですので、サイズご確認の上お問い合わせください。

精密鋳造用ジルコニアるつぼ

ニッケル基超合金精密鋳造専用のジルコニアるつぼの紹介です。

ジルコニアるつぼφ150x250H a

航空機エンジン・ガスタービン用ニッケル基超合金の精密鋳造にはこの金属との反応性の点から、マグネシア安定化(MgOスタビライザーの)ジルコニアるつぼの使用が不可欠です。

これら精密鋳造でネックになるのが、るつぼに付着した前ショットの残留金属や、るつぼ母材自体のコンタミ(異物混入)であり、溶融金属のるつぼへの浸透や溶融金属によるるつぼのエロージョン(腐食)が原因です。

当社販売のジルコニアるつぼは(プレス成形品と違い)鋳込み成形品であるが故に、るつぼ表面が非常に滑らかできめ細かく、溶融金属との濡れ性が悪いおかげで溶融金属のるつぼへの付着や、るつぼのエロージョン(腐食)が起こり難く、即ち最も嫌われるコンタミの発生を抑えられます。

ジルコニアるつぼφ150x250H b

ジルコニアるつぼφ150x250H c

あるケースでは海外製某Z社のプレス成形品ジルコニアるつぼよりも約2倍ショット数が伸びたという例もございます。

水分によるアルミナコーティングの剥がれ

SiC棚板に通常施されているアルミナコーティングは、新品時は有機バインダーで板に軽く引っ付いているだけで、約1,100℃以上に焼成されて初めて板にしっかり焼付くような配合になっております。

ですので1回目の焼成では特にそうですが、焼成時に水分が焼成物と棚板との間にこもってしまうような状態ですと、アルミナコーティングが棚板に焼付く前に水蒸気によってコーティングがふやけて浮き、剥がれてしまう場合があります。

アルミナコーティング水分めくれ2

このSiC棚板は、食器の焼成で食器底部分のハマ(高台)の内側に乾燥しきっていない釉薬の水分が閉じ込められ水蒸気となりコーティングが浮いて剥がれてしまった例です。

アルミナコーティング水分めくれ1

焼成時には製品が十分乾燥しきっているのを確認しないと、このようにコーティングに悪影響を及ぼす場合があり、特にSiC棚板1回目の焼成時には顕著に影響が現れますが、2回目以降の焼成でも、こもった水分によりアルミナコーティングが剥がれる場合はありますので注意が必要です。

アルミナ・ムライト質耐火物の熱間荷重による収縮

下の写真は使用された、アルミナ約60~70%のアルミナ・ムライト質 L型支柱です。

L型支柱サイズばらつき

元は同じ高さのL型支柱でしたが、荷重のたくさんかかる箇所で多く使われた物と、そうでない物・新し目の物とはこれだけ高さに差が出てしまっています。

アルミナ・ムライト質の白物耐火物は熱間荷重により少しづつ収縮されてゆきます。「高温で荷重がかかると物がつぶれてゆく」という比較的イメージしやすい現象かと思います。

ちなみにSiC耐火物の場合は「最高使用温度まで機械的強度は落ちない」という特性と、「焼成雰囲気中でSiCが酸化されることによってSiO2が生成され少しずつ膨張してゆく」という性質から、逆に使われれば使われるほど膨張し寸法は大きくなります。

コージライト質スペーサー・ムライト質スペーサー

コージライト質とムライト質のスペーサーのご紹介です。

上:コージライト質    下:ムライト質
上:コージライト質φ69xL40mm      下:ムライト質φ62xL60mm

上の茶色い方がコージライト(Cordierite)質で、下の白い方がムライト(Mullite)質です。

ヒーターの位置決め・絶縁用のスペーサー等に使用されます。ムライト質の特徴は低膨張率でヒートショックに強く、ムライト質の特徴は耐火度がコージライト質よりも高い点です。それぞれの材質の原料配合、使い方や使用目的等により異なりますが、例えば一般的なコージライト質耐火物は約1200℃以下、ムライト質耐火物は約1300℃まで使えます(アルミナ配合を90%くらいまで上げればMax. 1750℃)。

支柱をSiC棚板の中心に置くとSiC棚板が割れます

棚板は3本の支柱で支えるのが一番安定し良いとされています。2013Dec支柱組み方1blog

 

一方、焼成製品の重さによってSiC棚板が割れたり曲がったりしないようにと、棚板の真ん中にも支柱を置こうとする方が時折いらっしゃいますが、この棚組方法は非常に危険で逆にSiC棚板の割れを引き起こしてしまう可能性が非常に高いです。2013Dec支柱組み方2blog

 

炉内で温度が下がる過程で、熱伝導率の良い板形状のSiC棚板は端の方から比較的早く温度が下がってゆきつつも、棚板中心部分は冷め難い為、最後まで温度が高い状態にあります。一方、支柱はアルミナ・ムライト質でSiCよりも熱伝導率は10倍悪いとも言われており、且つムク形状の為、支柱の方はなかなか温度が下がりません。2013Dec支柱組み方1裏最終

となると下のイメージ写真の通り、蓄熱された支柱がSiC棚板中心部分に接触していると支柱から棚板中心部分へ熱を与え続ける事となり、その結果、ただでさえ元々温度が高い棚板中心部分が更に熱くなってしまいます。2013Dec支柱組み方2裏最終最終

 

SiC棚板含め耐火物が割れる一番大きな原因は温度差=ヒートショック(熱衝撃)ですので、良かれと思って置いた中心の支柱が、逆にSiC棚板に熱的ショックを与える事となり、結果棚板の割れを引き起こしてしまいます。

耐火物の使用にあったっては、1つの物に関してできるだけ温度差が付かない様な設置方法・使用方法が重要になります。