耐火物の幅・厚みと強さの関係

前回のブログにてSiC耐火物の曲げ強さについて説明いたしました。では、同じ材質で幅や厚みが違う場合強さはどう変化するのかというのを今回ご説明致します。前回ブログにも出てきましたが、耐火物・セラミックスの3点曲げ強さσb3(Mpa)の公式は σb3=3PL÷(2wt2) となります。

  • P:試験片が破壊したときの最大荷重(N)
  • L:支点間距離(mm)
  • w:試験片の幅(mm)
  • t:試験片の厚さ(mm)

*「JISハンドブック セラミックス2010」より引用。

この方程式をP(試験片が破壊したときの最大荷重)で解くと、P=σb3×2wt2÷3L となります。ここで式を良く見ると、試験片の厚さ “t” が2乗になっています。即ち同じ材質で同じ曲げ強さ”σb3″の耐火物は、厚さが2倍になれば強さは2倍の2乗の4倍になります。因みに幅が2倍になった場合はそのまま強さも2倍となります。

曲げ強さと厚み幅の関係

 

また感覚的にもお解りになるかと思いますが、式の通り支点間距離 “L” が2倍になると、1/2の荷重 “P” で折れる事となり、即ち耐火物の強さも1/2に弱くなります。

SiC耐火物とムライト耐火物の熱伝導率比較

SiC耐火物は各種耐火物の中でも熱伝導率が良く、即ち炉の中でも早く温度が上がってゆきますので焼成におけるエネルギーロスが少ないと言われております。今回はSiC以外に一般的に良く使われているムライト耐火物と温まりやすさを比較する簡単な実験をしてみました。

夏の直射日光の下にほぼ同サイズの2種類の板を並べました。左は酸化物結合SiC板で、右はムライト板(アルミナ約70%)です。尚、SiC板が白いのは表面にコーティングがされている為です。

SiC&Mullite plate
左:SiC板             右:ムライト板

実験スタート時はどちらも34.5℃です。  
Temperature before test
*土岐市は多治見の隣で今年も酷暑でございます。

 そのまま約20分放置した結果、SiC板は48℃、ムライト板は39.5℃となり、SiC板の方は素手で持つには熱いくらいに温度が上がりました。

左:SiC板 48℃            右:ムライト板 39.5℃
左:SiC板 48℃            右:ムライト板 39.5℃

 このようにSiC板の方がムライト板と比べ熱伝導率がかなり良い事が体感的に分かります。

では数値的に各種耐火物がどのくらい熱伝導率が違うのかを比べると

  • Si-SiC(反応焼結SiC)=40W/mK
  • 酸化物結合SiC = 16 W/mK   *今回実験した材質 
  • アルミナ質(アルミナ90%) =2.9W/mK
  • ムライト質(アルミナ70%)=1.9W/mK  *今回実験した材質
  • ムライト・コーディライト質(アルミナ55%)=1.7W/mK

     (1000℃での数値・上記は参考数値です)

というようにムライト・コーディライト質と比べると酸化物結合SiCでも約10倍近く熱伝導率が良いという事になり、それだけSiC耐火物が温まりやすいと言えます。

 セラミックスメーカー様の中には焼成時の省エネを目指して出来るだけSiC系耐火物を使うようにしている所もございます。

各種SiC耐火物のテクニカルデータはこちらをご覧下さい。

支柱はなぜSiC製ではないのか?

「棚板組み用の支柱はなぜSiCではないの?」と、あるメーカー様から質問を頂きました。今回はそんな素朴な質問にお答えします。

棚板がSiCで支柱もSiCにしてしまうと窯の中でくっついてしまいます。SiCとSiCは1,200-1,300度くらいの焼成時には接しているとお互いにくっついてしまうのです。こうなると棚組みを崩す時には棚板と支柱を壊さないといけなくなってしまいます。
また、以前のSiCは特にそうですが、SiCは使っていくうちに徐々に膨張してゆきますので、支柱をSiCにしてしまうと、支柱の高さも徐々に高くなってしまい炉壁上部にぶつかる事になります。

その点、現在の一般的な白いアルミナ系材質の支柱はこのような事はありません(アルミナ系の場合は逆に荷重に対して縮んでゆきますが)。
また、単価的にもSiCの方がいくらか高くなります。ただ、強度的にはSiC製の方が強く、耐火度もSiCの方が若干高く、製品重量のある碍子の焼成等にはSiC製支柱が使われていたりします。尚、同じアルミナ系支柱でもアルミナの%が90%近くまで上がると耐火度はあがりSiCよりも高温に耐えられる特別な支柱もあります。

支柱ブログ

アルミナ系支柱            SiC製支柱

ということで、現在一番一般的に使われている支柱はアルミナ系となっております。