酸化物(SiO2/シリカ)結合SiC プレス成形品とその金型について

酸化物結合SiC耐火物はプレス成形で様々な形状が製作可能です。

SiC millston 2プレス成形品ですので最初に金型の製作が必要です。使用条件等を確認させて頂いた上で御注文数量が継続的にある程度見込める場合は、金型代をご負担頂いた上で初回は少量生産でも対応致します。一度製作頂いた金型は後の消耗による金型更新時でも費用はこちら側で負担致します(形状にもよりますが、一つの金型で1,000個以上はプレス打てます)。

尚、我々の特徴の一つとしては金型代が他と比べ安い点ですので、新規形状をご検討の企業様は是非一度お問い合わせ下さい。

酸化物(SiO2/シリカ)結合SiC プレス成形品複雑形状

SiC耐火物の中でも価格的に一番安価な種類は酸化物(SiO2/シリカ)結合SiCです。弊社販売のシリカ結合SiC耐火物は全てプレス成形品で、下の写真のような複雑形状でもプレス成形で作れます(写真は一つの同じ製品を上と下から撮った物です)。

heat treating tool Up&Down熱処理用の冶具でかなりヒートショックが厳しい(熱応力が高い)条件下での使用の為、割れ防止の目的でスリットが入っていたり、接地面積を少なくする形状にしたり工夫がされています。

尚、一般的にはプレス成形の方が鋳込み成形よりも使用するバインダーの量が少なくて済むので、「気孔率の低い=密度の高い」もの、即ち強度のあるものが作れます。

Re-SiC / R-SiC(再結晶SiC)小型るつぼ

Re-SiC(もしくはR-SiC)とはRe-crystallized SiCの略で=再結晶SiC。下の写真は小型の再結晶SiCるつぼでサイズはφ90(内径φ80) x h100mm / フタ付です。

RSiC small saggar真空雰囲気炉2,400℃以上で焼成して製造されるこの再結晶SiC耐火物の(大気雰囲気)最高使用温度は1,650℃と高いのが特徴で、SiC99%、気孔率約15%です。

各種SiC耐火物の比較は弊社の高機能SiC耐火物ページのテクニカルデータ表をご参照ください。

N-SiC(窒化物結合SiC)薄型支柱

N-SiCとはNitride bonded Silicon Carbideの略で=窒化物結合SiC。下の写真はN-SiC製の薄型支柱です。

NSiC Support

最高使用温度は1,450℃で、Si2N4が約25%入っており窒化物入りの為、耐酸化性能に優れ、耐火物の中でも比較的じん性があり割れ難いとされています。価格は酸化物結合SiCよりも高価ですが、迅速焼成をするヨーロッパ系の炉などでは比較的多く採用されている材質です。

各種SiC耐火物の比較は弊社の高機能SiC耐火物ページのテクニカルデータ表をご参照ください。

グラインダーでのSiC耐火物切断テスト

SiC(酸化物結合SiC)耐火物をグラインダーで切断できるかのテストを行いました。使用した刃は3種類で1)レンガ用、2)石材用、3)コンクリート・タイル用ダイアモンドホイールです。

1)レンガ用:当てたSiCの角が少し削れた程度で全く切れず。Cutting test by brick cutter

2)石材用:同じく当てたSiCの角が少し削れた程度で全く切れず。Cutting test by stone cutter

3)コンクリート・タイル用ダイアモンドホイール:少し食い込みましたがそれ以上は切れず。Cutting test by concrete & tile with diamond

1)レンガ用、2)石材用はSiC耐火物に当て続けると刃がみるみる減って行き、3)ダイヤモンドホイールもダイヤ砥粒が直ぐに無くなり進まなくなりました。

SiCは砥石の原料にもなっている位の硬い材質ですので加工は容易ではありません。弊社の場合SiC耐火物専用の丸鋸(まるのこ)をオーダーメイドで製作してもらい、それを湿式切断機に取り付け切断加工しております。

SiC棚板破断面焼成テストの比較まとめ

過去3回にわたり比較試験してきたSiC棚板の破断面の焼成テストのまとめです。SiC cross section comparison 1

  • 上段左:新品を割った物=全体的に光沢有り
  • 上段右:800℃の素焼焼成に入れた物=SiC粗粒部に少しだけ光沢が残る
  • 下段左:1240℃酸化焼成に入れた物=完全につや消しマッド
  • 下段中:1300℃還元焼成(A製陶所)=SiC粗粒部が紫っぽく変色
  • 下段右:1300℃還元焼成(B製陶所)=SiC粗粒部が緑っぽく変色

この様に焼成雰囲気によってSiC棚板の破断面の見た目/状態が変化しますので、SiC棚板が割れた時の状況がこれらの情報を元にある程度推測できます。

SiC棚板断面の焼成テストその3(還元焼成)

引き続き1300℃還元本焼成の炉に入れた後の新品SiC棚板の破断面の写真です。(1300℃還元焼成:A製陶所)SiC cross section reduction fired 1300C 1(1300℃還元焼成:B製陶所)SiC cross section reduction fired 1300C 2

写真の通り、SiC粒径の細かい箇所は酸化焼成時と似たようなつや消し状態になりましたが、大きめの粒径部分はつや消しにはならずに紫色や緑色のような虹色っぽい色が出ており、このキラキラの色合いは新品棚板を割った破断面でも出ていなかったものです。

この様に還元焼成の場合の破断面は酸化焼成の場合と違い、SiCの大きな粒に光沢をもった色が付きます。

この原理ははっきり判らないのですが、焼成過程で大きめのSiC粒表面が一度酸化されSiO2皮膜ができ、その後還元帯に入った時点でSiO2皮膜がいくらか奪われ薄膜ができ「薄膜干渉」によって光の屈折の強調が起き色が付いた可能性もあります。

尚、同じ還元焼成でも還元度合いや時間が異なることによりこの薄膜のでき方(厚み)が変わり、よって”A製陶所”と”B製陶所”の様に色も異なってくるのではと考えられます。

SiC棚板破断面の焼成テストその2(酸化焼成)

前々回の記事で「新品SiC棚板破片を800℃の素焼き窯に入れたらキラキラしていた破断面が酸化されつや消しになった。」と報告しましたが、1200℃くらいの酸化本焼成では破断面がどう変化するかをテストしました。

下の写真は1,240℃の酸化本焼成の炉に入れた後の新品SiC棚板破片の破断面の写真です。SiC cross section oxidation fired 1240C

この場合も新品を割った時にはキラキラしていた破断面が酸化されつや消しになりましたが、800℃素焼きの時よりも更にマットな感じになり、大きめのSiC粒の部分でも(800℃素焼き時と違い)キラキラは残らずに全てつや消し状態になっています。

ヒートショックによる割れは800℃以下の温度帯ですので、前々回のテスト結果と合わせて考察すると、炉で使用したSiC棚板が割れた時の破断面がこの写真の様に完全にマットなつや消しになっている場合は昇温時の800℃までに棚板が割れ、その後1,200℃くらいの酸化焼成にさらされて破断面がつや消しになったという事で、SiC棚板は昇温時に割れた可能性が高くなります。

SiC耐火物焼成後の色の変化

SiC棚板等のSiC耐火物を焼成した後は色が濃くなるという現象があります。下の写真は新品未使用SiC棚板の破片を更に割り、片方を1,300℃還元焼成の炉に入れた物です。Color chage of SiC plate写真の通り、左側の還元焼成後の物は新品時に比べ濃いグレーになっています。これは還元焼成によってSiC棚板表面の分子レベルでの酸素欠損が起きた為と考えられます。ですので酸化焼成の場合は焼成物から酸素を奪う作用が働きませんので、この様な色の変化は通常ありません。

因みにアルミナ系耐火物でも同じく、酸素欠損が起こると白色からグレーや黒へと色が濃くなる場合があります。

SiC棚板破断面の酸化温度の検証テスト

SiC棚板が低温時に(物理的な力で)割れたのか、焼成時の高温時に(ヒートショックで)割れたのかは破断面の光沢度で判断できるという記事は以前掲載しましたが、更に突っ込んで、その割れがヒートカーブ中の昇温時か降温時かの判断ができるのかどうかの検証です。

焼成最高温度1300℃等でもSiC棚板がヒートショックで割れるのは赤熱状態より低温の800℃以下の温度帯です。仮に800℃くらいの温度ではSiC棚板破断面は酸化されない=つや消しにならないという事であれば、判断面がつや消しになったのは一度それ以上の温度にさらされたという事になり=昇温時の割れという事になります。

下の写真は常温で物理的に割ったSiC棚板(左)を800℃の素焼の炉に入れた結果(右)です。SiC surface change見ての通り、破断面が酸化されつや消しになりました。この結果、降温時のヒートショック(冷め割れ)でも破断面がつや消しになりうるという事で、結論としては「破断面が酸化されつや消しになっている場合は高温時に割れた事は判っても、昇温時の割れか降温時の割れかの区別はつかない」という事になります。