N-SiC(窒化ケイ素30%弱+SiC)で作った炉内に設置するチューブです。
片側封じのチューブ状で片側に穴が開いており、ここからエアーを炉内に注入します。
急激な温度変化と強酸化雰囲気により、強度のあるSiCでも痛みが出やすい使用条件ですが、弊社販売のN-SiCの材質は従来品SiCよりも耐久性があるという評価を頂いております。ヒートショックに関してはN-SiCは他のSiCよりも比較的耐久性があるというデータもありますし、条件にもよるかと思いますが、耐酸化性能も良いという事になります。
N-SiC(窒化ケイ素30%弱+SiC)で作った炉内に設置するチューブです。
片側封じのチューブ状で片側に穴が開いており、ここからエアーを炉内に注入します。
急激な温度変化と強酸化雰囲気により、強度のあるSiCでも痛みが出やすい使用条件ですが、弊社販売のN-SiCの材質は従来品SiCよりも耐久性があるという評価を頂いております。ヒートショックに関してはN-SiCは他のSiCよりも比較的耐久性があるというデータもありますし、条件にもよるかと思いますが、耐酸化性能も良いという事になります。
ムライト・コーディライト質の大型支柱です。
ジョイント部分と支柱部分があり組み合わせて使います。
通常のL型支柱と比べるとその大きさが判るかと思います。
良く使われるパターンはSi-SiCビーム組用の支柱で、ジョイントの穴やキャップの凹み部分でSi-SiCを受けます。
尚、コーディライトが入っている為、1300℃を超える温度では注意は必要です。
使用中の炉内でSiC棚板が割れる原因は熱衝撃(ヒートショック)がほとんどですが、機械的衝撃で割れた場合はその破断面、割れ方に特徴があります。
下の写真は機械的衝撃で割れたSiC棚板です。
割れ目が二股になっており、また割れ目が熱衝撃による割れの場合よりも少し直線的だったり、カクっと折れ曲がっていたりします。
破断面も熱衝撃による割れの場合よりも凸凹していたりもします(常温で割れた破断面は当然キラキラしています)。
下の写真はまた別のSiC棚板ですが、機械的衝撃が原因の場合は割れ目のラインがギザギザしている場合があります(熱衝撃が原因の場合は割れ目はもっと滑らかな曲線を描きます)。
炉に入れる前に機械的衝撃を与えてしまったが完全には割れずに、クラックに気付かずにそのまま炉に入れて焼成過程の熱による膨張収縮の応力を受けて初めてその前に入っていたクラックから完全にSiC棚板が割れるという場合もあります。
宜しければ、同様の過去の記事「SiCプレートの割れ方の違いとその原因」もご参照ください。
回の記事で、SiC棚板の破断面で、「光沢状態=降温時の割れ」「艶消し状態=昇温時の割れ」とご説明しました。
下の写真はSiC棚板破断面で光沢と艶消しが混在している珍しいパターンです。
破断面の左と右は艶消しになっていますが、破断面中心付近はSiC粒の光沢が残っています。これは、最初に棚板の端の方からクラックが入り、最後に残った中心部が降温時に割れたという事が見て取れます。尚、ヒートカーブ中の昇温時に棚板の端が割れて艶消しになったのか、それとも降温時にクラック入ったのが、そのまま次また焼成されてヒートカーブの700~1000℃弱を通過し艶消しになったのかはこの写真だけでは判断できません。
前回の記事でご説明した通り、ヒートショックでSiC棚板が割れやすい温度帯は約300~900℃くらいです。また、炉内温度が約700~1000℃弱は一番酸化されやすい温度帯です。これらの要素を元にSiC棚板破断面の光沢具合によってヒートカーブ中のどのタイミングで棚板が割れたかをある程度推測する事は可能です。
下の写真は降温時に割れたと思われるSiC棚板です。
破断面は酸化されておらずキラキラしたSiC粒の光沢が残っています(破断面が酸化されると艶消しになります)。即ちヒートカーブにおいて、割れた後に酸化されやすい700~1000℃弱を通過していない為です。
一方下の写真は昇温時に割れた可能性の高いSiC棚板です。破断面が酸化されSiC粒の光沢がほぼ無くなり艶消しになっています。即ちヒートカーブにおいて、割れた後に酸化されやすい700~1000℃弱を通過した為です。
但し、厳密に言うと、降温時の800℃付近で割れると破断面はそれなりに艶消しになり(若干艶消し具合は弱めですが)、また、降温時にクラックが入っても再度炉に投入され酸化されやすい700~1000℃弱を一度通過すると破断面は艶消しになります。
若干判断が難しいケースもありますが、SiC棚板破断面の光沢具合でおおよその割れたタイミングは推測できます。
SiC棚板やアルミナセッター等の耐火物が炉内で割れる原因のほとんどがヒートショックですが、実は割れやすい温度帯と割れにくい温度帯があります。
下の図はセラミックス焼成のヒートカーブ(焼成曲線)の一例です。
図中の記載の通り約300℃~900℃くらいまでの温度帯で急激な温度変化が耐火物に対して起こると、ヒートショックによる割れが発生しやすいです。一方約900℃から上はSiC棚板でもアルミナセッターでも赤熱してくる温度であり、赤熱状態の高温度帯では多少急激な温度変化が有っても割れにくいです。
以前の記事で記載した通り、炉内温度が上がる時に割れるのを「昇温割れ」、炉内温度が下がる時に割れるのを「降温割れ・冷め割れ」と言いますが、どちらも割れやすい温度帯は同じです。
冷め割れでの棚板の割れが多いという場合は、例えば炉の扉を開けるタイミングを炉内温度が200~300℃未満になってからにすると改善するケースが結構あります。
前回記事の昇温割れは炉内温度が上がる過程でのヒートショックによるセッター・棚板の割れでしたが、逆に炉内温度が下がる過程でのヒートショックによる割れもあり、降温割れ・冷め割れと言います(どちらかというとこのケースの方が多い感じです)。
下の写真はSiC棚板の降温時のヒートショックによる割れの例です。
縁が先に温度が下がり収縮し出しますが、中心部はまだ温度が上がったままで膨張している為、縁が収縮しようとしても収縮しきれずに、膨張した中心部に向かって裂けてクラックが入った状態です。
このケースの場合はほぼ辺の中心から棚板の中心に向かってクラックが入ります。
棚板の中心部だけに重量物(=蓄熱しやすい物)を載せている場合は、ただでさえ棚板の中心の温度は下がりにくいところに更に積載製品から棚板中心に熱を与え続ける事になり、縁と中心の温度差が大きくなり、降温割れ・冷め割れが起きやすくなります。
耐火物が割れる原因のほとんどはヒートショックです。物体に熱がかかる際は表面や縁から先に温度が上がり、熱が冷める際は逆に表面や縁から先に温度が下がり、一つの物体で温度差ができる事によって膨張・収縮による歪みが生まれ物理的に割れます。
下の写真はアルミナ耐火物セッターの昇温時のヒートショックによる割れの例です。
縁が先に温度が上がり膨張しますが、中心部はまだ温度が上がらず膨張せずにいる為、縁の膨張に中心部が追従できず中心部からクラックが入り、クラックがそこまでで止まった状態です。
セッター・棚板の上の積載製品が密に配置してあったり、上段セッター・棚板と積載製品との空間が狭い場合など、セッター・棚板中心部に熱がかかりにくい場合にこの昇温割れが起こる事があります。
前回の記事で記載した通り、中国共産党の環境政策を発端とする中国の電力不足の為、大量の電気を必要とするSiC製煉は大きく影響を受けております。
例えば中国甘粛省天祝チベット自治区には18社のSiC製煉所がありますが、地方政府は9月18日に内7社に対し操業停止命令、残りの11社にも使用電力の上限を設け、実際にはSiC製煉には全く足りない電力上限の為、結果現在もこの地区は全製錬所が操業停止中です。
その隣の寧夏回族自治区では操業しているSiC製錬所は有りますが、電気料金が0.4元⇒0.6元/Kwhと電力コストが1.5倍に高騰、原料のコークスもUS$500⇒US$1200/t と2倍以上になっています。
その為、SiCインゴット価格の相場は今年9月以前の約2倍のレベルで推移しており、インゴットを粉砕・脱鉄・整粒したSiC原料価格は約1.5倍、そのSiC原料から作られるSiC耐火物の価格も大幅に上がってしまい、残念ながらこの流れは簡単に元には戻らない物と思われます。
SiC(炭化ケイ素)はそのほとんどが中国で製造されています。このSiCの製煉はアルミニウムの製煉の次に大量に電力を消費します。
現在中国は石炭火力発電が全体の70%近くを占めますが、中国政府がコロナ禍の経済立て直し優先から、急に環境対策に舵を切った為、火力発電所の発電が大幅に抑制され、中国全体で深刻な電力不足に陥っております。
電力を大量に消費するSiC製煉工場の強制的な操業停止や生産抑制で、中国全体で半分以下の生産量になった結果、SiCインゴット価格がそれまでの約2倍に高騰し、結果SiC耐火物の原料となる粉砕・整粒されたSiC原料もかなり値上がりするという情報です。
尚、SiC(炭化ケイ素)インゴットの詳しい製造工程は下記ご参照ください。
炭化ケイ素(SiC)の製造工程/現地SiC製煉工場レポート1
炭化ケイ素(SiC)の製造工程/現地SiC製煉工場レポート2
炭化ケイ素(SiC)の製造工程/現地SiC製煉工場レポート3
炭化ケイ素(SiC)の製造工程/現地SiC製煉工場レポート4