SiC支柱とSiCビーム組み

多段でSiCビームを組む場合、支柱の安定性は非常に重要です。

下写真の支柱は酸化物結合SiC製で、安定して積み上げられるサイズです(サイズは縦x横=120x210mm・高さは200mmと250mmが有ります)。

SiC支柱の特徴は熱間荷重に対しても非常に強く、焼成物が重たい碍子(ガイシ)等の焼成でも支柱の高さが縮む事もなく、長く使えます。

下の写真はこのSiC支柱とSi-SiCビームを使った碍子(ガイシ)焼成用の台車組みです。

SiC支柱の穴にSi-SiCビームを通します。ビームの高さ調整には穴に耐火レンガ等をかませたり、支柱と支柱の間に同じSiC材質のスペーサーをかませたりします。

酸化物結合SiCサヤ(匣鉢)プレス成型品

プレス成型で製作した酸化物結合SiCのサヤ(匣鉢です)。SiC(炭化ケイ素)の中で一番安価な材質が酸化物結合SiCです。

真ん中でカットした物が下の写真です。流動性の悪いSiCでこのような立ちのある形状をうまく均一に成形するのには高い技術とノウハウが必要です。

アルミナ・ムライト・コーディライトと言った白物耐火物と比べSiC耐火物はヒートショックに強かったり、熱伝導が良かったり、熱間荷重に対して強く高温でも変形しないといった特徴があります。

N-SiC(窒化ケイ素入り)SiCプレート

ヨーロッパでは陶磁器焼成にも良く使われるN-SiCプレートです。

化学成分はおおよそ、SiC(炭化ケイ素)68%、Si3N4(窒化ケイ素)27%で、気孔率11%、最高使用温度は1450℃です。

比較的大きなサイズでも厚み8mm等と薄く作れる為、炉内の省エネ化に貢献します。材質的にもSiC耐火物の中ではヒートショックに強く、板が薄くても割れにくいです。SiC耐火物の物性値比較はこちをご参照ください

再結晶SiC無垢材ブロック

再結晶SiCで無垢材のブロックも製造可能です。

再結晶SiCの特徴はSiC 99%でシリカ(SiO2)が少ないという点と、最高使用温度が高く、大気雰囲気では1600℃、真空雰囲気では2000℃での使用も可能な点です。

屋根瓦焼成用SiC耐火物

屋根瓦の内、粘土瓦はセラミックス製です。1100数十度で焼成されます。その中でも現在一般家屋で一番広く使われている瓦は平らな形状の「平板瓦」です。この平板瓦は小さな部屋くらいもある大きな台車の上にSiC棚棒とSiCセッターを組み合わせた治具に載せられ焼成されます。

瓦が載っていない状態のSiC治具
瓦が載った状態の台車

瓦の変形を押さえながら効率的に安定した状態で焼成するいわゆる斜め焼きです。下のSiC棚棒は大幸セラミックオリジナル品<意匠登録第1410233号>です。

通常、全自動の積載機によって瓦をSiC治具に載せ、焼成後も自動でSiC治具からおろされます。1100数十度は比較的酸化されやすい雰囲気での焼成になりますので、SiC耐火物の耐酸化性能が非常に重要になってきます。性能が悪いとSiC治具は早く変形したり割れたりしラインが頻繁にストップし、せっかくの全自動操業システムの生産効率が下がってしまいます。

 

再結晶SiCサヤ(匣鉢)

再結晶SiC(Recrystallized SiC / Re-SiC) 製のサヤ(匣鉢)です。写真のサヤ(匣鉢)のサイズは300 x 230 x (70+10) H です。

再結晶SiCの特徴は、SiC99%と他のSiC耐火物よりもシリカ分が圧倒的に少ない点で、シリカと反応してしまう材料・製品の焼成には有利です。

ただし、大気雰囲気での焼成では(焼成温度にもよりますが)酸素O2と反応し少しずつですが表目にシリカSiO2は生成されます。大気雰囲気での最高使用温度は1,600℃です。

一方、不活性ガス雰囲気や真空雰囲気での焼成ですと2,000℃以上でも持つ場合があります。

再結晶SiCはアルミナ系耐火物よりも機械的強度があり、熱伝導率も良く、ヒートショックにも強いのが特徴です。

 

N-SiC(窒化ケイ素入りSiC)チューブ

N-SiC(窒化ケイ素30%弱+SiC)で作った炉内に設置するチューブです。

片側封じのチューブ状で片側に穴が開いており、ここからエアーを炉内に注入します。

急激な温度変化と強酸化雰囲気により、強度のあるSiCでも痛みが出やすい使用条件ですが、弊社販売のN-SiCの材質は従来品SiCよりも耐久性があるという評価を頂いております。ヒートショックに関してはN-SiCは他のSiCよりも比較的耐久性があるというデータもありますし、条件にもよるかと思いますが、耐酸化性能も良いという事になります。

Si-SiC製積み上げ式丸支柱

SiCビーム用のSi-SiC製積み上げ式丸支柱です。ムライト質での同形状丸支柱からのグレードアップ版です。

サイズは大小2種類あり、大=高さ140mm、小=高さ70mm でそれぞれの組み合わせも可能です(下の写真は大2個+小1個で組み合わせの関係で高さは320mmになります)。

ムライト製に比べ、肉薄にできるので軽量になり、材質的な比熱も低く、炉の燃費の改善になるのと同時に、ムライト製では長年の使用やハンドリングで角の欠けが発生したりしますが、Si-SiC製の場合ですとそれは各段におきにくくなります。

Si-SiC製積み上げ式小型支柱

SiCビーム用のSi-SiC製積み上げ式小型支柱です。

写真は縦横40x40mmサイズのSi-SiCビームを支えています。

支柱の1段目は高さ75mm、積み上げた2段目は高さ175mmとなります。安定性の観点からは3個積み上げるくらいまでが良いかと思います。

  • 高さが変えられる
  • 小型サイズなので面積を取らない
  • ムライト製支柱に比べ、軽量で比熱も高い為、炉の燃費に貢献する

というのがこのSi-SiC支柱のポイントです。

低温酸化対策品SiC耐火物

非酸化物であるSiC耐火物にとっては、酸化によるSiCの劣化が耐火物の寿命にかかわる一つの大きな要因です。特に炉内温度約700~1000℃弱は一番酸化がきつい温度帯で低温酸化領域と言われており、例えば1300℃での焼成よりも700~1000℃弱での焼成の方がSiC耐火物にとっては過酷な条件となります。

下のバーナースリーブはこの低温酸化に対して強い特別な配合で作られたSiC耐火物です。

表面にきらっとした茶色い色が析出しており、見た目的にはあまりきれいとは言えないのですが、これが低温酸化対策品SiC耐火物です。

製造の焼成工程中の微妙な雰囲気の差によって茶色かったりそうでなかったりの色の差は生まれますが、性能的には均一で同じです。

尚、これを1200℃以上の高温焼成で使用すると、表面の色がべーパーして移ったり、配合成分の一部が溶け出したりしますのであまりお勧めできません。例えば1200℃以上の使用条件の炉床板では別の耐酸化性SiC耐火物もございます。