

通常使われているアルミナ質支柱は、アルミナ約70%ぐらいで、耐火温度は1,500℃です(製造時に1,500℃以上で焼成しております)。圧縮強度も680kg/cm2 以上あります。
セラミック焼成に使われる支柱はこの手のアルミナ質支柱が一般的です。
I型・L型・サイコロ型 各種ございます。
通常使われているアルミナ質支柱は、アルミナ約70%ぐらいで、耐火温度は1,500℃です(製造時に1,500℃以上で焼成しております)。圧縮強度も680kg/cm2 以上あります。
セラミック焼成に使われる支柱はこの手のアルミナ質支柱が一般的です。
I型・L型・サイコロ型 各種ございます。
下のサヤ(匣鉢)は焼成温度1,350~1,400℃で使用された他社の物です。
ご覧の通り、割れと底下がりが起きています(底面真ん中の割れは底下がりによって出来た亀裂です)。
割れの原因は熱衝撃に対する耐スポーリング性能が使用条件に追いついていない為です。サヤ(匣鉢)の中いっぱいに小さなアルミナ製品等を入れて焼成すると、中の空間が少ない為温度が下がる時には中の製品はなかなか温度が下がらず、外側のサヤだけが先に温度が下がり、結果温度差でサヤが割れてしまうという事になります。
又、使っていくうちに底が下がってくるのは、サヤ自体の耐火度が足りない為で、焼成時の製品の重量による熱間荷重でサヤの底部分が下がってしまうという事になります。
難しいのは、耐火度を上げようとしてアルミナ%を多くすると価格も上がりますが、耐スポーリング性能が落ちてしまい、逆に耐スポーリング性能を上げる為にコーディライト質等を多く入れると今度は耐火度が下がってしまいます。
この相反する性質を克服し、耐火度と耐スポーリング性能をハイレベルで両立させたのが当社販売のアルミナ・ムライト質サヤ(匣鉢)です。
特殊な低熱膨張率の原料を配合する事により、1,400℃の焼成にも耐えると同時に、熱衝撃にも強い材質になっております。
どの耐火物にも言える事ですが、コストを抑えつつ長く使用するには焼成条件に合った材質の選択が必要不可欠です。現在ご使用のサヤが割れたり、底下がりが早くてお困りの場合は一度当社までご相談下さい。
ムライト(酸化アルミニウム(Al2O3)とケイ素(SiO2)の化合物)を主原料にした耐火物も一般的に良く使われる白物耐火物です。下の写真は他社製ムライト質支柱の写真です。
約1年使用しただけでこの様に角や表面がボロボロと取れ、一部では欠けも発生してしまっており品質的に問題があると言わざるを得ません。考えられる原因としては
等の事が考えられます。大物になればなるほど成形時のプレス圧が必要ですが均一にしっかり圧をかけるのは難しくなりますし、支柱の高さを一定にするためプレス成形時にはストッパーでプレス後一定の高さになるように調整しますが、そうなるとしっかりプレス圧を均一にかけるのが更に難しくなります。また大物の場合は粗い原料を多く使って骨材にし、変形を抑える必要も出てきますが、同時に原料の繋ぎ材としてコーディライトを多目に入れ割れを防ぐ必要もあり、コーディライトを多く入れると製造時の焼成で高温焼成が出来なくなり圧縮強度や耐火度が落ちます。
この様に大物のムライト質耐火物はしっかりした物を作るには色々と難しい要素がありますが、これらを克服した物が下写真の右の当社販売ムライト質耐火物で、左の他社製と比べても違いが判ると思います。
当社の物は適切な原料配合・十分なプレス成形圧と高温焼成によってしっかり焼きしまったムライト質支柱で、最高使用温度1,500℃です。
ムライト質耐火物は形状・大きさ・使用温度・使用条件等によって原料配合が色々と変わりますが、そのノウハウが品質の差になってきます。またやみくもにアルミナ%を高くしてもオーバースペックとなり不必要に価格が高くなってしまいますので、条件にあった適切な配合選択はコスト削減には不可欠です。
前回のブログにてSiC耐火物の曲げ強さについて説明いたしました。では、同じ材質で幅や厚みが違う場合強さはどう変化するのかというのを今回ご説明致します。前回ブログにも出てきましたが、耐火物・セラミックスの3点曲げ強さσb3(Mpa)の公式は σb3=3PL÷(2wt2) となります。
*「JISハンドブック セラミックス2010」より引用。
この方程式をP(試験片が破壊したときの最大荷重)で解くと、P=σb3×2wt2÷3L となります。ここで式を良く見ると、試験片の厚さ “t” が2乗になっています。即ち同じ材質で同じ曲げ強さ”σb3″の耐火物は、厚さが2倍になれば強さは2倍の2乗の4倍になります。因みに幅が2倍になった場合はそのまま強さも2倍となります。
また感覚的にもお解りになるかと思いますが、式の通り支点間距離 “L” が2倍になると、1/2の荷重 “P” で折れる事となり、即ち耐火物の強さも1/2に弱くなります。
SiC耐火物は各種耐火物の中でも熱伝導率が良く、即ち炉の中でも早く温度が上がってゆきますので焼成におけるエネルギーロスが少ないと言われております。今回はSiC以外に一般的に良く使われているムライト耐火物と温まりやすさを比較する簡単な実験をしてみました。
夏の直射日光の下にほぼ同サイズの2種類の板を並べました。左は酸化物結合SiC板で、右はムライト板(アルミナ約70%)です。尚、SiC板が白いのは表面にコーティングがされている為です。
実験スタート時はどちらも34.5℃です。
*土岐市は多治見の隣で今年も酷暑でございます。
そのまま約20分放置した結果、SiC板は48℃、ムライト板は39.5℃となり、SiC板の方は素手で持つには熱いくらいに温度が上がりました。
このようにSiC板の方がムライト板と比べ熱伝導率がかなり良い事が体感的に分かります。
では数値的に各種耐火物がどのくらい熱伝導率が違うのかを比べると
(1000℃での数値・上記は参考数値です)
というようにムライト・コーディライト質と比べると酸化物結合SiCでも約10倍近く熱伝導率が良いという事になり、それだけSiC耐火物が温まりやすいと言えます。
セラミックスメーカー様の中には焼成時の省エネを目指して出来るだけSiC系耐火物を使うようにしている所もございます。
「棚板組み用の支柱はなぜSiCではないの?」と、あるメーカー様から質問を頂きました。今回はそんな素朴な質問にお答えします。
棚板がSiCで支柱もSiCにしてしまうと窯の中でくっついてしまいます。SiCとSiCは1,200-1,300度くらいの焼成時には接しているとお互いにくっついてしまうのです。こうなると棚組みを崩す時には棚板と支柱を壊さないといけなくなってしまいます。
また、以前のSiCは特にそうですが、SiCは使っていくうちに徐々に膨張してゆきますので、支柱をSiCにしてしまうと、支柱の高さも徐々に高くなってしまい炉壁上部にぶつかる事になります。
その点、現在の一般的な白いアルミナ系材質の支柱はこのような事はありません(アルミナ系の場合は逆に荷重に対して縮んでゆきますが)。
また、単価的にもSiCの方がいくらか高くなります。ただ、強度的にはSiC製の方が強く、耐火度もSiCの方が若干高く、製品重量のある碍子の焼成等にはSiC製支柱が使われていたりします。尚、同じアルミナ系支柱でもアルミナの%が90%近くまで上がると耐火度はあがりSiCよりも高温に耐えられる特別な支柱もあります。
アルミナ系支柱 SiC製支柱
ということで、現在一番一般的に使われている支柱はアルミナ系となっております。