サンドイッチセッター(SiC+アルミナ・ムライト)

SiC+アルミナ・ムライトのサンドイッチセッターのご紹介です。
サンドイッチセッター1

SiCをアルミナ・ムライト質で上下からサンドイッチしたセッターです。
サンドイッチセッターアップ

アルミナ・ムライト耐火物の耐食性と、SiC耐火物の高温強度・耐スポール性とを兼ね備えたセッターになります。フェライト等SiCと反応してしまうワークの焼成にはアルミナ・ムライト質セッターが有効ですが、どうしても耐スポール性能や高温曲げ強度がSiCセッターに比べ弱くなってしまいます。

そこで中心にSiCを挟み込む構造にする事によりアルミナ・ムライト質セッターの耐食性を保ちつつSiC耐火物の高温強度・耐スポール性を利用し弱点を補う事ができます。サンドイッチセッターの最高使用温度は1,450℃です。

SiC棚板コーティングの水濡れによる溶け

SiC棚板(酸化物結合SiC)には通常、製品と棚板が引っ付くのを防止する為コーティングがしてあります。
SiC棚板コーティング

この粉状の白いコーティングは有機バインダーによってSiC棚板に軽く引っ付いているだけで、1,100℃以上で焼成されるとコーティング中の無機バインダーによって初めて棚板にしっかり焼き付く様な配合になっております(因みに、有機バインダーは1回目の焼成過程の数百度で焼けてなくなってしまいます)。

この新品(未焼成)の状態のコーティング面に水がかかるとすぐに水を吸ってしまいます。
SiC棚板コーティング濡れ

水を吸ったコーティングはふやけて軟らかく溶けてしまい、指でこすると下の写真のような状態になります。
SiC棚板コーティング濡れて溶けた状態

因みに一度濡れてしまったコーティングは、乾かした時にめくり上がってはがれたり、焼成時にはがれてしまいます。ですので、特に新品のSiC棚板は水濡れにご注意下さい。尚、逆にコーティングが必要ない場合は、新品時(焼成前)に高圧洗浄機等で水で洗い流せば除去できます。

Si-SiC(反応焼結SiC)の劣化

一番酸化されにくく、1,350℃以下であれば一番耐久性のあるSi-SiC(反応焼結SiC)でも長年使っているとやはり劣化はします。下の写真は実際に使用されているSi-SiCビームですが、表面がかなり白っぽくなっているのが判るかと思います。
Si-SiCビーム劣化現場

Si-SiCも他のSiC耐火物と同じく、劣化=酸化される事で、含浸された金属シリコン(Si)やSiCが長年の使用を繰り返す内に少しずつ酸化されSiO2となり白く表面に析出してきます。
Si-SiCビーム劣化1

表面にガラス状のテカテカしたものが付いていたり、表面に白い粉や薄い片の層が出来ていたりしており、表面の白い部分は触るとパラパラと取れて落ちます。また下の写真のようにビーム内側に白くSiO2が析出したりもします。
Si-SiCビーム劣化2

こうなってくると本来、金属シリコン(Si)を含浸させることによって強度を得ていた物が「骨粗そう症」の様な状態になり、割れたり、折れたり、チッピングしやすくなったりします。

SiCと鉄の反応

SiCと高温の鉄は反応します。テストとして、SiCセッター成形時にわざと極小さな鉄片をセッターの中に入れ、1400℃以上で焼成してみた結果、下の写真の様になりました。SiC棚板鉄高温反応

鉄がSiCと激しく反応し、SiC棚板自体に穴をあけ、ぶくが発生しました。

これは極端な実験ですが、SiCが鉄と高温で接すると、SiCが反応してしまいますので注意が必要です。

SiCが侵される物

SiCは硫酸や塩酸にも反応せず、化学品に対しても非常に強い材質です。しかしSiCでも反応して侵される物があり、それは

  • ナトリウム
  • フッ素
  • アルミニウム
  • (高温の)鉄
です。下の写真は溶解アルミ保持炉のアッパーヒーターに付けられていた他社のSiC保護管です。
劣化したSiC保護管
劣化した他社SiC保護管

アルミのはね返りやフラックス中の成分によって侵された可能性がありますが、このような場合はSiC保護管の中でもN-SiC(窒化物結合SiC)の保護管が比較的侵されにくく耐久性があると思います。

アルミ溶湯保持炉用N-SiC(窒化物結合SiC)保護管

アルミ溶湯保持炉用N-SiC(窒化物結合SiC)保護管のご紹介です。
アルミ用NSiC保護管1
上の写真のパイプはN-SiC(窒化物結合SiC)製保護管・両端オープン形状で、アルミ溶湯保持炉のアッパーヒーターの保護管として取り付けられます。

アルミ用NSiC保護管2パイプのサイズは外径φ85(内径φ70)x長さ1265mmと外径φ85(内径φ70)x長さ1500mmです。

アルミは他の物質を侵食しやすく、アルミ溶湯保持炉のアッパーヒーターでもフラックス投入時の飛び散り等でヒーターにアルミが付着すると、ヒーターの寿命が著しく短くなります。そこでヒーターに保護管をつけるのが有効ですが、アルミに対して侵食され難く、且つ熱伝導の良い材質での保護管が必要となります(保護管の熱伝導が悪いと、ヒーターの温度上昇時に熱が炉内に伝わり難く、又ヒーター熱のはね返りでヒーター自身がやられてしまいます)。SiC系耐火物は他の耐火物に比べ強度が強く、熱伝導率も良いのが特徴ですが、アルミに侵食され難い物となるとN-SiC(窒化物結合SiC)のみが適します。

アルミ用NSiC保護管アップ
某アルミホイールメーカー様では、他社のSiC保護管を使用しておりましたが、寿命が2ヶ月くらいと短命で、ヒーターも同時にやられたりしておりました。そこで弊社販売のN-SiC保護管に変えてからは既に従来品寿命の2倍以上使われ続けまだ使用中です。保護管自体もきれいに赤熱し、「非常に良い」という評価を頂いております。

このN-SiC(窒化物結合SiC)のテクニカルデータはこちらをご覧下さい

SiC放熱板

SiC放熱板のご紹介です。SiC放熱板1

上の写真の放熱板サイズは730 x 650mm(反り公差2.5mm以下)です。

酸化物結合SiC(カーボランダム)製の放熱板でプレス成形品ですので、初回に金型作製する必要はございますが、金型を作ってしまえば他のSiC耐火物よりも比較的安価にご提供できます。SiC放熱板2SiCは高耐火度かつ耐薬品性に優れ、又遠赤外線放射も高いですので、様々な用途に使用されます。

SiC棚板の酸化とボロ降り

下の写真は陶器の酸化焼成に使われたSiC棚板の裏面です。

SiC棚板裏面
SiC棚板裏面
裏面アップ
裏面アップ

このSiC棚板は他社製で約2年ほど使用されておりますが、このところSiC棚板の裏面からボロが降って陶器の製品の上にくっ付いてしまうという問題が起きております。実際に指で裏面をなでてみると確かに小さな粒状の物がとれて指先にくっつき、また裏面を手でこすってみてもパラパラと粒が落ちるといった状態です(下写真)。
SiC棚板裏面チェック
SiC棚板裏面ボロふり

通常この手の酸化物結合SiC棚板は約300~600サイクル使用できるというのが一般論ですが、この棚板の使用期間は約2年間で約200サイクル弱使用しただけで、表面のSiC粒がポロポロ取れる状態にまで劣化してしまっております。この様な状態ですと、台車を動かしてトラバーサーの上を通過した時の振動や、焼成過程で棚板が熱で膨張した時などに棚板の裏面からボロが下の製品に落ちてしまいます。

通常よりも早くSiC棚板が劣化した原因として考えられるのは焼成雰囲気の問題です。SiC耐火物は酸化される事により劣化します。今回のケースも焼成温度が1200℃弱の酸化焼成ということで、一般的に1150℃±50℃くらいの範囲がSiC棚板が一番酸化されやすい温度帯と言われております(但し、雰囲気によってもかなり差がありますので、一概に1150℃前後が全て一番良くないとも断言できませんが)。

また、SiC棚板自体の性能によっても当然差は出てきます。「性能の良い耐久性のあるSiC棚板=酸化されにくい棚板」という事が言えます。

Si-SiCロッド

Si-SiC(反応焼結SiC)ロッドのご紹介です。

Si-SiCロッド φ10 x L 100mm
Si-SiCロッド (φ10 x L 100mm)

写真の物は直径φ10mm、長さ100mmのムク材です。Si-SiCは機械的強度が非常に強く、曲げ強度は室温でも1350℃でも250Mpaあります(SiC耐火物の機械的強度と温度の関係はこちらのブログをご参照下さい)。Si-SiCの最高使用温度である1350℃を超えない条件ですと、吊るし焼きの支持棒には最適です。

又、炉の中でステンレス等金属を使うと徐々にやせ細って行ったりしますが、Si-SiCのロッドの場合はやせ細って行くことは無く、又強度の強いSiC耐火物の中でも更に強度のある物となりますので、安心してご使用頂けます。

焼却炉用SiC製耐火レンガ

焼却炉の内張等に使われるSiC製耐火レンガのご紹介です。

SiC並型レンガ
SiC並型レンガ (230x114x65mm)

焼却炉内張に使われるSiC耐火レンガは、セラミック製品の焼成に使われる通常のSiC棚板よりも更に、高温耐酸化性能、高温耐酸・耐アルカリ腐食性能、高温強度が求められます。当社販売のSiC耐火レンガは、SiCが元々持っているこれらの特性を最大限に高めるために専用の特殊配合により作られます。表面にぶつぶつとした物が浮き出ているのもこれらの特性を持たせた特別配合の為です。

又、並型レンガ以外にも燃焼室水管壁等、様々なサイズ・特殊形状の物がございますのでお問合せ下さい。

SiC特殊形状レンガ
SiC特殊形状レンガ

焼却炉内張用SiC製耐火レンガ代表値

  • 化学成分/SiC =約85%  Al2O3=約3%  SiO2=約10%
  • 見掛気孔率 14%
  • カサ比重  2.6